前回FIREについて考える その2 で、家族持ちがリタイアを目指す場合、インデックスファンドの積み立て投資を行うよりも、不動産投資の方が実現可能性が高いのではないかという話を書いた。
しかし、本当に不動産投資の方が有利なのかについて、もう少し考えるとする。
不動産投資は売買手数料が高いところが懸念
インデックスファンドの積み立て投資の場合、運用利回りがマイナスにならない限りは、元本が減ってしまうことはない。インフレで目減りということはあるだろうが、少なくともインフレ率以上の利回りなら、実質的に元本が減ることは無い。
しかし、不動産の場合、現物投資なのでインフレには強いだろうが、購入した瞬間に、仲介手数料、登記費用、不動産取得税などで、購入金額の7~8%の手数料が掛かることになる。
また、売却すれば、3%+6万円+消費税の仲介手数料が掛かる。
そのため、不動産の場合は、買った瞬間に元本割れしていると思う向きもあるだろう。よって、インデックスファンドの運用利回りと、不動産投資のただのキャッシュフローを比較するのは、ナンセンスだろうという意見もありうる。
しかし、私の割安物件の購入方法 で書いたように、とにかく粘り強く市場価格より安い物件を探して買うことが出来れば、元本割れにはならない。
事実、私はその後、事業的規模と達成した区分10件のうち、4件を売却したが、いずれも購入金額を上回った金額で売り抜けている。中には購入金額の1.6倍で売却したものもある。売却の具体例としては、物件購入の失敗と逆転を生む売却 に例として2件書いた通りである。
購入時より相場が良かった面もあるが、常に市場価格より安く、買った翌日売却しても損が出ないように、私の割安物件の購入方法 で書いたように苦労して買っているのである。
また、そういう頑張りが効くところも不動産投資のメリットだろう。しかし、頑張らなければ失敗するというデメリットでもある。
もう一つの懸念は物件価値が減少する問題
もう一つ、不動産投資の懸念はある。不動産の価値は、少なくとも建物の価値は、毎年、減少していく。
そうなると、購入してから10年後ならともかく、さすがに20年後、30年後は買値より高く売ることは不可能ではないかという考えも浮かんでくる。そうしたら、元本割れじゃんという懸念である。
しかし、ローンを組んだ場合は、その限りではない。
例えば、物件価格 700万円、諸費用 50万円の区分マンションを、頭金200万円、ローン500万円で購入したとする。
この場合、購入時に投資した自己資金は、頭金の200万円と諸費用の50万円を合わせた250万円となる。
その後、家賃収入でローンを返済しつつ、所有期間トータルでプラスのキャッシュフローがあれば、20年後、30年後にローンを完済した後に500万円で売ったとしても、投入資金の250万円よりは高く売れたことになる。
ローンと言う他人資本を利用することで、自己の投資元本が約2倍になったことになる。
やはりFIREには不動産投資が有利か
以上の2点の懸念は、頑張りとやり方しだいでは逆にメリットであること、また、前回FIREについて考える その2 で書いた私の例ように、不動産投資は投資元本に対して、大きなキャッシュフローを出せることから、家族持ちがリタイアするには、インデックス投資より不動産投資の方が実現可能性は高いと、私は考えている。特にローンを引いた不動産投資は有利である。
ただし、条件があって、粘り強く割安かつキャッシュフローの出る物件を探して、なんとか入手するという努力をするという前提である。
しかし、頑張りによっては、私以上のパフォーマンスを出すことはそれほど困難ではない。そういうポテンシャルを不動産投資は持っている。事実、私より成功している不動産投資家は数えきれないくらい存在している。
以上の理由により、もし、家族持ちだが、FIREしたいと思っている方は、不動産投資を勉強してみることをお勧めしたい。
私の今の状態はFIREと言えるか
話はFIREについて考える の最初に戻るが、私の今の状態はFIREと言えるのだろうか?
確かに、退職して会社に依存していない状態で生活しているので、Financial Independence(経済的自立)とは言えるかもしれない。
言えるかもしれないと推測の表現になっているのは、毎月の収支が黒字と赤字を行ったり来たりで、少々、怪しいところもあるので、そう表現している。
次に、40代で会社を退職しているので、Retire Early(早期に退職する)と言ってもいいのかなとも思う。
しかし、会社は退職したが、毎月、収支の記事に書いているように大家の仕事はしている。
時には、炎天下の草むしり地獄 やクッションフロアの凹みをDIYで補修 や雨戸の錠を復活させる で書いたように、炎天下で草をむしったり、一日中、凹んだクッションフロアにドライヤーを当て続けたり、錆びた雨戸の錠をサンポールにぶっこんだりして、仕事をしている。
また、無料で日商簿記3級の資格を取得した話 でも書いたように簿記資格を取得しているので、帳簿付けや確定申告も自分で行っている。
ただし、毎月の収支の記事のときに書いているように、全体の仕事量は会社員に比べれば、圧倒的に少ない。
それでも、仕事の少ない大家業とはいえ働いてはいるので、Retire Earlyというよりは、セミリタイアというほうが、しっくりくる。
もし、収入に余裕があって、管理も丸投げ、確定申告も丸投げできるようなら、大家としての仕事はほとんどないだろうから、セミリタイアというより、Retire Early、つまりFIREと言ったほうが良いかもしれない。
ということで、私の場合は今のところ大家業の仕事があるので、このブログのタイトルは「セミリタイア」のまま変更しないでおこうと思っている。
しかし、セミリタイアと言う言葉が死語になりつつあると感じたときは、タイトルを「小規模小借金の不動産投資でFIREした私の方法」に予告なく変更するつもりである。(完)
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