前回総額9万円で検2年付の中古車を手に入れた話 その8 にて、自動車検査場の検査ラインで、左ヘッドライトの光軸と後輪ブレーキでNGが出て、テスター屋に急行したという話まで書いた。その続きとなる。
光軸調整で思わぬ危機
テスター屋に乗り入れると、若い整備士がすぐに駆け寄って来て、「何がダメでした?」と聞かれたので、検査結果を差し出した。
「光軸と後輪ブレーキですか。後輪ブレーキとは珍しいですね。まずは、光軸から直しましょう。」と、ヘッドライト検査装置で先ほどと同じように検査すると、若い整備士は「だいぶズレちゃっていますね。」と言った。
そして、光軸を調整するネジをプラスドライバーで回そうとすると、ネジが車体に固着してしまっていて、回らない。
若い整備士は、「ダメだな…」と言っている。私は、なんとかここまで持って来たが、ここで断念か?と絶望に近い気持ちになった。
若い整備士はネジを回すのを諦めて、事務所兼倉庫と言った風情の建物に入っていった。しばらくすると、こんなにデカいドライバーあるの?というくらい大きいドライバーを持って来た。
そして、思い切り押し込みながら太いグリップを回すと、バキっというすごい音がして、ねじが回るようになった。
そして、なんとか無事に光軸が調整できた。
後輪ブレーキは謎の結果
次は問題の後輪ブレーキである。また、先ほど受けた検査と同じように二本のローラーに後輪を載せて、検査する。
ブレーキを踏むと、若い整備士は、「んっ?特に問題はありませんね。もう一度、やってもらえます?」と言うので、もう一度、同じようにブレーキを踏むと、「問題なさそうですね。本番でもぎゅっと踏めば大丈夫だと思います。念のため、あと3回練習していきましょう。」とのことで、あと3回練習するもNGは無し。
おそらく、実際の検査ラインでは、総額9万円で検2年付の中古車を手に入れた話 その7 で書いたようにFFボタンを押し忘れたことに気が付いて、動揺していた時に行った検査だったので、あまり力が入らなかったのかもしれない。
若い整備士は、「これで、大丈夫だと思います。あと少しなので、頑張ってください。」と言って、私を送り出したのだった。
再検査に乗り込む
もう一度、自動車検査場に戻った時は、朝の車の行列が嘘のようにガラガラであった。
まず、ドキドキの後輪ブレーキ検査を受ける。さきほどのテスター屋でやったように、ぎゅっとブレーキを踏むとOKであった。これで、ようやく安心した。
最後のヘッドライト検査はテスター屋が完全に光軸調整してくれているので、気楽に捜査を受け、合格となった。
ようやく、ライン検査をすべて合格し、やれやれ、よくここまで来たなという気持ちはあったが、車検証とナンバーを取得するまでは、喜ぶのはまだ早いと気を引き締めた。
自動車検査場の建屋に入り、ナンバー取得の申請と車検証の申請を行う。黄色のナンバープレートは直ぐに発行され、ナンバーを固定するボルトと一緒に手渡された。そして、車検証もすぐに発行された。
ついにやった
あっけなく終了して、もうこれで帰っていいの?と思いつつ、新しいナンバープレートと車検証を持って、だだっ広い駐車場に停めてある外観ボロボロの軽自動車に向かう。
朝の喧騒が嘘のように閑散としている。私が再検査をやっている間に、朝、いっぱいあった軽自動車たちは検査を終了して、帰ってしまったらしい。
車載のプラスドライバーを取り出し、市役所から借りた仮ナンバーを取り外して、真新しい黄色いナンバープレートを取り付ける。
軽自動車なので、ナンバープレートの封印は無く、自分で勝手に取り付けて、そのまま帰ればよかった。
ナンバープレートのボルトをドライバーでねじ込んでいると、急にやった、やったぞと達成感に満たされてきた。そして、得意の笑みがこぼれるのを禁じえなかった。
しかし、それと同時に、朝から痛かった喉が、猛烈に痛くなり始めた。決戦が終わって、アドレナリンが切れたのだろう。
普通なら軽くドライブでもしますかという気分になりそうだが、そんな気も起きず、帰りに市役所にそのまま車で乗り付け、仮ナンバーを返して、自宅に直行して寝た。
この軽自動車取得のための一連の作業に疲れて、風邪を引いてしまったのかもしれない。それから1週間くらい体調が悪く、新しく入手した車を動かすことは無かったのである(続く)。
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